なぜこの時点なのか
売買日誌はいつ書くかが、何を書くかと同じくらい大切です。判断の根拠は注文を出す前、まだ結果を知らないうちに書かないと、結果に染まってしまいます。結果は足が確定した後に書くのがよいでしょう。暗号資産はバイナンスやアップビットのように協定世界時(UTC)で足を区切る取引所では日足が韓国時間の毎日午前9時に確定し、韓国株は午後3時30分、米国株は韓国時間の早朝(サマータイム期間は午前5時、それ以外は午前6時)に通常取引が終わります。このように一日が確定する時刻を記録の時刻と決めておけば、進行中の足の揺れではなく確定足を基準に結果を書くことになります。最後は振り返りです。株式が休む週末は、一週間の記録をまとめて読み返すのに向いた時間です。この記事は日誌を、利益を自慢したり人に見せたりする帳簿ではなく、自分の判断がどんな根拠から出て、その根拠が実際に確かめられたかを振り返る道具として使う方法を扱います。特定の売買手法を勧める記事ではありません。
書いておく項目
日誌に書く項目は、後でその場面を思い出せる程度で十分です。多すぎると数週間もしないうちに書かなくなり、少なすぎると振り返るときに何を見て判断したのか分かりません。基本は、いつ、何を、どのチャートで見たかです。日付と時刻、資産と取引所、基準にした足の長さを書きます。次はそのときのチャートの状態です。トレンドがどちら向きだったか、近くの支持・抵抗の価格帯がどこだったか、出来高がふだんより多かったか少なかったかを一、二文で残します。そして判断の根拠と、その根拠が誤っていたとみなす条件を書きます。実際に取引したなら、予定した数量と実際の約定価格、許容できる損失の範囲を書き、最後にそのときの気持ちを短く添えます。急いでいたか、直前の取引の結果に影響されていたかといったことです。画面を保存しておけば、文章では書ききれないチャートの姿をそのまま残せます。
- 日付・時刻、資産、取引所、基準の足の長さ
- そのときのチャートの状態:トレンド、近くの価格帯、出来高
- 判断の根拠と、根拠が誤っていたとみなす条件
- 予定した数量、実際の約定、許容できる損失の範囲
- そのときの気持ちと画面の保存
エントリーの根拠と結果を分けて書く
日誌でいちばん大切な習慣は、根拠と結果を別の欄に書くことです。市場は同じ根拠からでも毎回違う結果を出すので、結果だけで根拠を評価すると学ぶことがゆがみます。根拠はもっともだったのに結果が悪かった場合もあれば、根拠は雑だったのに運よく結果が良かった場合もあります。結果だけを見ると前者は捨てるべき方法に、後者は続けるべき方法に見えますが、実際には逆かもしれません。だから振り返るときは二つのことを別々に問います。一つは、書いておいた根拠が実際に確かめられたかです。見守ると決めた価格帯で反応があったか、出来高の条件は満たされたかを見ます。もう一つは、結果がどうだったかです。この二つの答えを並べると、根拠は合っていたが数量や時点が問題だったのか、根拠そのものが確かめられないまま入ったのかを見分けられます。結果の欄は根拠の欄を直すためには使わず、根拠の欄の横に書き足す用途にだけ使います。
後からの解釈を減らす
結果を知ると、最初からそうなると分かっていたという感覚が生まれます。これを後知恵バイアスと呼び、日誌がないとこの感覚が記憶を静かに書き換えます。価格が上がれば、そのとき上がる根拠を見ていたと記憶し、下がれば、不安なサインをすでに感じていたと記憶するといった具合です。これを減らす一つ目の方法は、先に述べたとおり根拠を結果より先に書くことです。二つ目は、すでに書いた文章を直さないことです。考えが変わったなら元の文章を消さず、日付とともに新しい文章を書き足します。三つ目は、根拠を数字と条件で書くことです。トレンドが良さそうに見えたという文章は後でどうとでも解釈できますが、日足の終値が20日移動平均の上で三日続けて引けたという文章は解釈の余地が小さくなります。四つ目は、画面の保存のようにそのときの姿をそのまま残すことです。こうしても後からの解釈が消えるわけではありませんが、少なくともそのとき何を知っていて何を知らなかったかは区別できるようになります。
観察日誌:取引しなかった場面も書く
日誌を取引した日だけ書くと、記録が一方に偏ります。気持ちが動いて実際に入った場面だけが残り、似たシグナルを見ても見送った場面は消えてしまうからです。すると後で記録を振り返るとき、あるシグナルが出たときに全体としてどうだったかではなく、自分が選んだ一部だけを見ることになります。だから取引せずに見守っただけの場面も、同じ形式で書いておくのがよいでしょう。何を見たか、なぜ入らなかったか、その後チャートがどう動いたかを書きます。この観察の記録は実際の損益がないので感情に振り回されにくく、落ち着いて根拠だけを見られるという利点もあります。観察日誌はシグナルを探す練習でもあります。あらかじめ決めた条件が画面に現れるたびに書いていくと、その条件が思ったより頻繁に出るのかまれなのか、どんな時間帯や相場の状況で主に出るのかを、勘ではなく記録で知るようになります。ただし数週間分の記録でルールの成績を判断するには標本が少なすぎることも、一緒に書いておきます。
リアルタイムのツールで確かめる
日誌に書くチャートの状態は、できれば同じ画面、同じ設定で確かめるのがよいでしょう。このサイトの暗号資産マルチチャートと株式マルチチャートは、複数の資産を一画面に分けて表示し、枠ごとに足の長さ、移動平均、ボリンジャーバンド、出来高、RSI(14)を選べるので、記録するたびに同じ構成で状態を書き写すのに向いています。暗号資産と株式の売買シグナルのツールは指標ごとにルールと現在の値を一緒に示すので、根拠の欄にどの指標がどんな値だったかをそのまま書いておけます。このとき、ツールが示すシグナルの等級を根拠そのものとして書くより、その等級を作った指標の値とルールを書くほうが後で振り返りやすくなります。書いておいたルールを過去の相場に当てはめてみたいなら、戦略バックテスターで日誌の中の判断とルールの過去の結果を比べられます。記録自体はどこにしてもかまいませんが、このサイトのメモ帳は登録なしで自分のブラウザーにだけ保存されるので、簡単な日誌を始めるのに負担が少なくて済みます。
よくある思い違い
一つ目は、日誌を利益をまとめる帳簿と考える思い違いです。損益の数字だけが残った日誌は、何を直すべきかを教えてくれません。二つ目は、勝った取引だけを詳しく書き、負けた取引は短く済ませることです。記録がこう偏ると、振り返るときに実際より判断がうまかったように見えます。三つ目は、結果が出た後で根拠を書き込むことです。そうして書いた根拠は結果に合わせて整えられがちで、記録ではなく説明になります。四つ目は、数回の結果からある方法が通用する、しないと結論づけることです。少ない回数の結果は偶然に大きく揺れるので、判断は根拠が確かめられたかを中心にするほうがよいでしょう。五つ目は、日誌を人に見せたり自慢したりする用途に使うことです。人が見る記録になると、不利な場面を抜いたり根拠をもっともらしく直したりしたくなります。日誌は自分だけが見る記録のときにいちばん正直になります。六つ目は、形式を完璧に整えてから始めようという考えです。いくつかの項目でまず始め、振り返りながら必要な欄を足すほうが長続きします。
暗号資産と株式で違って見える点
暗号資産と株式は市場の開き方が違うので、日誌に書くべきことも少しずつ違います。暗号資産は24時間取引されるので、日付だけでは一日がどこで区切られるのか分かりません。韓国時間で書くか協定世界時で書くかを決め、日足の基準時刻が取引所によって違いうることも最初に書いておきます。同じ銘柄でも取引所によって価格と出来高が違うので、どの取引所のチャートを見たかが大切です。先物ならレバレッジ倍率と資金調達率の精算時刻も書く項目に入ります。株式は通常取引があるので、一日の始まりと終わりがはっきりしています。韓国ではサムスン電子やSKハイニックスのように取引の多い銘柄でも、寄り付きや大引け付近の動きがザラ場と違うことがあるので、どの時間帯に見た場面かを書いておきます。代替取引所(ネクストレード)の時間に見た価格なら、そのことも一緒に残します。米国株は指数や大型ハイテク株でも通常取引の外の価格と通常取引の価格が違うことがあるので、プレマーケット・アフターマーケットの価格を見たかを印しておくと、振り返るときに混乱しません。
- 暗号資産:韓国時間と協定世界時のうち記録の基準をひとつに決める
- 暗号資産:取引所の名前と、先物ならレバレッジ・資金調達率の精算時刻を書く
- 韓国株:通常取引か、時間外・代替取引所の時間かを書く
- 米国株:通常取引の価格か、プレマーケット・アフターマーケットの価格かを印す
リアルタイムのチャートで見るとき
リアルタイムのチャートを見ながら日誌を書くときにいちばんよくある失敗は、進行中の足の姿を確定足のように書くことです。最後の足はまだ確定していないので、更新中に見えた移動平均のクロスやバンドの抜けが、足が確定するときに消えることがあります。そのため根拠の欄には、そのシグナルを進行中の足で見たのか確定足で確かめたのかを一緒に書きます。進行中の足を見て判断したなら、そのこと自体が振り返る材料です。後で同じ場面を確定足基準で見直すと、進行中に見えたシグナルがどれくらい頻繁に変わったかを記録で確かめられます。アラートを使っているなら、アラートが鳴った時刻とそのときの価格、そしてアラートを見て何をしたかも書いておきます。リアルタイムの画面は数秒ごとに変わるので記憶が特にぼやけやすく、判断した瞬間の画面を保存しておくと役に立ちます。結果の欄は基準にした足が確定した後に埋めるという原則を守れば、リアルタイムの画面の揺れが記録に混ざりにくくなります。
実践の点検手順
日誌は続けて書いてこそ役に立つので、書く順番を決めて毎回同じ順番に従うのがよいでしょう。順番が決まっていれば、結果を先に見て根拠を後から埋めることが減ります。下のリストは何を書いて確かめるかについてのもので、ある結果が出たら何をせよという意味ではありません。最初はすべての項目を埋められなくてもかまいませんし、忙しい日は根拠一行と画面の保存だけでも十分です。根拠を先に書き、結果を後に書くという二つだけを守っても、日誌の役立ち方は大きく変わります。週末には一週間に書いた記録を最初から読み、根拠が確かめられた場面とそうでない場面を分けて印をつけ、同じ失敗が繰り返されたかだけを短く書いておきます。振り返りで直すべき点が見つかったなら、来週の日誌のいちばん上に一行で書き写し、記録するたびに目に入るようにします。
- エントリーや観察の前に、日付・資産・取引所・足の長さとチャートの状態を書く
- 判断の根拠と、根拠が誤っていたとみなす条件を数字で書く
- シグナルを進行中の足で見たか確定足で見たかを印す
- 基準の足が確定した後、結果を根拠とは別の欄に書く
- すでに書いた文章は直さず、日付とともに書き足す
- 週末に、根拠が確かめられたかと結果を分けて振り返る
限界と注意
売買日誌は判断を振り返る手助けをするだけで、次の判断が当たることを保証しません。記録を長く積み重ねても市場は記録になかったやり方で動くことがあり、数週間や数か月の記録である方法の成績を判断するには標本が足りないことが多いものです。日誌は正直に書くときにだけ意味があり、人に見せたり利益を証明したりする用途に使うと、記録は簡単に飾られてしまいます。この記事に書いた足の確定時刻は、UTC基準で足を区切る取引所と韓国・米国の通常取引を基準にしたもので、取引所やチャートソフト、サマータイムの有無によって変わりえます。この記事は記録の習慣を説明するためのもので、特定の資産や売買手法を勧めるものではありません。実際の取引の判断と損益はご自身にあり、レバレッジを使う取引では短い動きひとつで強制ロスカットが起きうることを覚えておく必要があります。
🌍 検索エンジンでさらに調べる
ボタンを押すと、そのエンジンでこのキーワードを検索します